SST(Social Skills Training) は社会生活技能訓練であり、生活技能の中心となる他者とのコミュニケーションの能力の訓練のために考案された技能訓練です。利用者の皆さんが、日常生活での対人関係上の課題に対処しうるスキルの獲得を目指しています。
すずかぜでは、利用者の皆さんの、様々な特性や認知能力に合わせ、ストレスなく楽しく取り組んでいただけるように工夫を重ねながら実施してきました。一年間のうち、全体で行う機会は3回しかありませんが、今年度で4年目となる試みを皆さん大変楽しみにしてくださっているようです。
はじめたころは訓練で出来たことを普段の生活に生かすことが難しい様子が見られましたが、最近では、『友達とけんかしそうになったけど、優しく言えたよ』『自分の気持ちを言えたよ』との嬉しい報告も頂けるようになってきました。
教育現場でのSSTは①インストラクション(今からどんなスキルを学ぶのか、ポイントはどこかを説明したり話し合ったりする)②モデリング(職員などがお手本をしめしてみる)③リハーサル(ロールプレイやゲームなどを通じて実際にやってみる)④フィードバック(よかったところを話しあう)⑤定着化(般化・学んだ知識を実際に生かす)という過程を経て行われます。
すずかぜでもロールプレイだけではなく、ゲームを中心として行うグループもあります。今回ドミノ倒しのゲームを用いて『謝る』『慰める』といったスキルを練習したグループでは、皆でドミノを作る際に、思わず手が触れて倒してしまったひとが『ごめんね』とすぐに皆に謝り、『いいよ、また立てれば大丈夫』と、とても感じよく慰めてくれている様子がみられました。
ロールプレイを楽しみにしてくれている人たちもいて、職員が『お手本してくれるひと』と募ると必ず立候補があり場を盛り上げていただいています。大変助かっています。
人とのやり取りの中で、不安に思ったり心配で仕方がなかったりする事に対し、自分がどう動き何を言えば、相手を傷つけず自分も安心していられるかということを、動きと言葉を交えたリハーサルをロールプレイによって行うことで不安そのものを軽減できないかと期待をしています。
SSTを普段の個別支援にも取り入れ、必要に応じた個別的な支援も行うことが出来るようになっています。今後も、楽しく行っていただきながら、自然に自分の気持ちや思いを相手に伝える力が醸成できるような訓練を考えていきたいと思います。